2026年8月13日木曜日

憧れて



いつも通勤している道の途中の高架下に

ホームレスのおじさんが一人住んでいる。

彼は寝転がりながら気持ちよさそうに読書をしていたり、

外なのに箒で身の回りを掃除していたりと割と綺麗な感じだった。

とあるカラッとした真夏の朝にアトリエに向かっている時のことだ。

そのおじさんがめちゃくちゃ笑顔で右手に持ったハイボールの缶を

空に天高く上げ乾杯をしていた(もちろん一人で)のを目撃した瞬間、

何とも言えぬ無圧の敗北感を味わった夏、皆様いかがお過ごしでしょうか。


乾杯って空とするのがかっこいいと思ってしまった。




ループで移動のバンドマンはエモい





先日ふらっと入った代官山のコンランショップの地下で

古い籠だけを取り扱った展示が行われていた。

色々な用途、フォルム、素材、組み方、加工があり

作った人間のクリエイティビティを感じる一方、

結構な物量があったので誰がこれをキュレーションというか

コレクションしているのか気になっていた。

セレクト具合もいい感じだったが、ライティングで織りなす

籠の陰影がとても素敵で籠が籠以上のものに見えてきた。

そしたら白髪で眼鏡をかけたいけてるおじさんが話しかけてくれて、

「僕が日本で唯一の籠コレクターです」と言っていた。

くぅ〜日本で唯一のコレクターってカッコ良すぎる、、となったが、

こういう日常の中で使われてきた道具の進化を

コレクションしてその価値を見出すその審美眼をかっこいいと思った。





別な日に皆んな大好き杉本博司パイセンの展示に行ってきた。

パイセンのすごさってもう言わずもがななんだけど、

改めて展示を観て感じたのは、研究者的なオタクがアートに身を置くと

クオリティやセンスを超越した圧倒的なパワーでぐぅのねもでないから

見終わった後は別に誰とも話さないでいいということに気づいた。

個人的に海景のシリーズの空間の中で、当初の構成にはなかったであろう

陽の光が入った海がシリーズの中にセレクトされていて

こういう偶然性をも楽しめるセンスというか遊びの幅があることに

勝手な解釈しテンション上がっていた。

展示を見終わった後、別のフロアの展示室で

パイセンのノートが見れるコーナーがあった。

写真撮影のためのメモや数字、構成などが書かれている中、

最後の方に人の名前と金額が書いた予算メモ的なものがあって

パイセンも予算を計算しながらあの作品を作っていたと思うと

ぐっと人間味が増してかっこよく思えた。




パイセンのノート、豆男だ




世の中を彩るかっこいいおじさんがいっぱいいる。

大人になるということはどういうことか。

色々なことを知る中で、少なくとも私が思う大人になるということは

多面的になるということである。

良い部分も悪い部分も知って自分の世界を広げることに近い。

昔は許せない感情や、これが正義じゃないの?という一方の考えが強かった。

今はもっと複雑なレイヤーがあることを想像できるし、

色で言うと白黒つけずにグレーを知ると言ってもいいかもしれない。





多分大人って平気で自分の感情に蓋をする。

他人を傷つけてはいけないと同時に自分を傷つけてはいけない。

自分への加害というのは暴力はもちろん、

自分の欲望を否定することが自分への暴力だったりすると思っている。

だからたまには素直になった自分と付き合ってグラデーションを楽しまないと

空高く乾杯するおじさん、

籠を収集するおじさん、

センス爆発おじさんのように

死んでる暇がないくらい人生を謳歌できないと思った次第だ。

おじさんになるために、一人で色々楽しいことをしよう。






大滝詠一   ---  君は天然色







2026年7月22日水曜日

茨の道は薔薇の道

 

 

日暮れ時に車を運転していたら

坂を上り開けた道の先に細い上弦の月がポッとでてきた。

いつも通る道なのに自転車で見るのとはまた違った切り取られ方で、

こんな些細な事をしゃべりたくなる人が

自分の中ではステータス高めの人だったりする。

逆の事で疲れたりムカついたことも誰かに話したくなるが、

そのまま吐き出しても、何も面白くならない。

冗談混じりで笑い飛ばすくらいしないと

何も解決しないのを知っている。

ただこれは話すタイミングや人を選ばないと、

イケてない人になってしまうので要注意だ。

そう何を隠そう私イケてる人になりたいんですが、

この燃えたぎるような暑い夏、皆様いかがお過ごしでしょうか。




ビーチでトランプするよね





 
 
大学四年生の時、就活を終えバーでバイトしている時に遡る。

私は人生で一番生意気で、大人達を本気で舐めていた。

とあるコンサルのおじさんとは口喧嘩をし泣かされ、

とある会長のおじいちゃんとは料亭で豪遊し、

とある気品のあるマダムとお茶会に行ったりして遊んでいた。

そのカウンター越しでいつも見ていたのはお酒の飲み方だった。

簡単に分けると、愚痴を言いながお酒を飲む人と

美味しそうにお酒を飲む人の二つだ。

同じウイスキーを飲んでても違って見えるから不思議だ。

この二つの人種を私なりに勝手に分析すると、

クリエイティブな仕事や情熱を持って仕事をしている人は

美味しいお酒を飲んでるという風に考えた。

そしてとある日、自分もそういう風にお酒を飲みたいし、

そういう風に生きたいと思い次の日、

一年ちょっとインターンをして内定をもらってた就職先の上司に、

やりたいこと見つけました!内定辞退します!

と伝え(内定者代表の挨拶とかした後に笑)

その次の日には専門学校の受験の申し込みに行き、

親にやりたいこと見つかったからと啖呵を切って喧嘩をし、

勢いマックスで専門学校に入り直したのだった。

 
 



という感じで、自分なりの視点を勝手に作って

行動しちゃうので大体後から大変なんです。

でも妙なやる気というか自信というか根性

(根性って言うのは死後でしょうか)があると

大体のことは大丈夫というのが今の私が言えることっす。

私にとってのイケてる大人とは、

将来の自分に恥ずかしくない選択を積み重ねてる人なんだと思っている。

もちろん恥ずかしい道もいっぱい通ったけど、

それを上回る茨の道の経験を通して

自信をつけることをしてきたら大体大丈夫かなと。

そして最近まで、茨の道のことを普通に薔薇の道だと思っていた。

ただ毎日こなしてる風に見えても、

漠然としたこのイケてる大人指針があると

目の前にいる困った人を何も考えずに助けられるし、

自分に正直に生きれるし、何より判断基準が明確なので

悩むループに沼ることが減ると思っている。



 

(何事も穴を掘れば全て解決するらしいよ)



 
まぁそれでも色んな壁があるよね。

最近私も壁に出くわした。

負けず嫌いなので、今に見てろよ🫶の精神で

次の対策を打ちまくるので反省してる暇がない。

本当はただの暇つぶしなのにね。
 


 
 
 
車のお陰で新しい景色や出会いが増えた。

もうどこまで私を連れていってくれるんだろう。

どうせならたくさん遠回りして、面倒なことになって、

なんでこんなこと始めたんだろう〜

と言っている自分が想像ができる。

その頃も茨の道を薔薇の道だと思って進んでいるかもしれないし、

そして少しはイケてる大人になれてたらいいなと思ったりする。

イケてる大人チェックするために、バーに行かなければ。



Mogwai --- Take me somewhere nice







 



2026年7月13日月曜日

勢いとエネルギー

 今日とある仕事で朝早く電車に乗らなければならず

鮨詰め満員電車の中に飛び乗らならないといけなかった瞬間、

目の前に広がるおじさんの大群の中に飛び込むことが

集合時間を守るためにならば、もう社会人は今日で卒業でいいやと思った。

おじさんとお尻を突き合わせながら窓におしつけられ

ぐちゃぐちゃにされた今日この頃皆様如何お過ごしでしょうか。




(もっちゅりんて名前を言いたいだけ説)



満員電車に乗ってはのは5分くらいだったがこれを30分とかだったら

本当性格悪くなるし、人格変わるし、仕事の意欲も削がれる。

おじさんが悪いのではないもちろんない。

おじさんの群れに飛び込む勇気がないだけだ。

メンタルが弱いというのではなく(社会人から見たら甘いの一言)、

こういう世界と離れるために嫌なことをしないでいいよう

仕事を頑張ってきたはずだったのだか、

たった5分の満員電車でもっと頑張ろうと思った次第だ。




という訳で最近結婚しました。

狙ってた男がいまして、出会って6ヶ月です。

自分で言うのもすごい恥ずかしいんですが、

とってもイケメンでダンディーでクラッシックなんです。

ちょっと性格はゴーイングマイウェイなところはあるけど

この人と一緒に時間を過ごしたいなと思えて一目惚れでした。

好きになった方が負けってよく言うじゃないですか。

あれって本当で、好きになったのでその人に合わせて

免許を取り行ったり、暇さえあればYoutubeでイメトレをしたり、

どこに行こうかなと明るい未来を想像してしまいます。

あと一緒にいても恥ずかしくないように良い人間でいたいなと思い、

まず似合うサングラスを4本新調したり、

室内用にサンマリアノヴェラ用のポプリを買ったり、

掃除用具を見繕ったりしました。




さっそく一緒にデートをしてきました。

私の技量がなかったせいか、ちょっと不機嫌になったりもしてました。

ごめんねという思いより、もうこちらの婿養子に入ったのだから

私に付き合ってくれて有難うねのスタンスで過ごしました。

イケメンなので私もできるだけ優しく接してます。

でもまだ新居が見つかってないのでしばらくは離れ離れです。

早く家が見つかるといいなと思ってるけど、これだけ探してもないのだから

もう別居婚でもいいかなと思ったりしてます。

その人はガレージか屋根つきの部屋じゃないとダメだよ言われてます。

たまに会えるから嬉しいし、優しくなれるし、愛おししいよねみたいな。

ご結婚されてる先輩方のアドバイスを聞くと、

一緒にいれるだけで幸せだよねって皆言ってて、

嘘だろ?っと思ってたけど本当でした。




信号待ちでびっくりするくらい色んな人に声かけられます。

おじさんにいいね(笑顔でぐー)を貰ったり、

イケメンに声かけられたり(連絡先交換しようとしたら青信号に)、

パンを買おうとしらそこのオーナーに拉致られデートしたり、

この人のお陰でとてつもないモテ期がきております。

今まで全くモテてこなかった人生、結婚した相手で

こんなに変わることがあるのかという体験をしていて

モテる人って大変なんだな〜というのを考えさせられてます。




という感じで車買いました。

勢いで購入したんですが、過去最高に一番いい買い物だったと

今は自負してます。

駐車していて迎えに行く度に美しいデザインに涙し、

乗る度に楽しくてしょうがなく(マニュアルですねん)

走る度に風ってこんな気持ち良かったんだと感じます。

今シーズンのSpomenikをつくるにあたり、

ブランドのMDを今までと違う角度で勝手に編集しました。

それは私が車を購入して自分の人生を編集したかのように、

ブランドも編集することで何かのトリガーが外れて

飛躍するためだと思っている。






購入のきっかけをくれた人を一番に乗せてみた。

外苑前の銀杏並木を走り、窓から顔を出すと風が夏の香りがした。

昔のアトリエの前で半クラッチで坂を登る練習を何度もし、

国立競技場をサーキット代わりにぐるぐると運転し、

あっという間に時間が過ぎてしまい、

気がつけばパリのフライトまで5時間前だった。

アホみたいに人生を楽しむために必要なのは

ノリで生きるためのエネルギーだと思っている。

今更だけど今年は死ぬほどエネルギー使って楽しみたいっす。

(もちろん結婚してません小声)




パッパパラダイス feat.甲本ヒロト --- 宇多田ヒカル




好きなことして生きましょ






2026年5月25日月曜日

それでいいのだと言いたい



 先日ヤマト運輸のトラックの助手席に

私服姿のおじいちゃんが乗ってて、何者だ?と思ったら

駐車取り締まりの人から車を守るだけの、


ただ乗っていることが仕事の人だった。


そのおじいちゃんは陽の当たる中遠くの空を見上げてボッーっとしたり、


本を読んだりしていてとても和かで、目指すべきはこの姿かもしれない、、


と思う今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。







代々木公園を散歩してたら奥で知り合いがサックスを練習してた







少し前にNetflixの細木数子を題材にしている「地獄に落ちるわよ」観た。


心が動くとか、考えさせられるとか、大変だったんだな〜という感情はなく、


どちらかというと、こういう人生送った方が面白いよなという感想だった。


見る角度によってはもちろん悪くも捉えらるものだけど、


破天荒というか、バイタリティの塊というか、素直というか、


こういう風に生きることができないから題材になる訳で


普通に細木数子いたら友達になりたいし、


こういう生き方は嫌いじゃないし、寧ろ好感を持てた。







恋多き細木数子が劇中で、万葉集では狂おしい恋を、


孤独の孤と悲しいの悲で「孤悲」と表現したと言っていた。


誰かといて満たされている瞬間ではなく、


寧ろ「一人の時間」に生まれる痛みのような感情が恋だったのかと。


会えない時間にふと相手を思い出したり、

胸が締め付けられるような切なさを感じる、

その孤独さの中で生まれる悲しさこそが、「こひ」の正体。。

昔の人がロマンチック過ぎて泣けてきたっす。






そんな中、たまに絵文字一文字送ったら飲みに行ってくれる

サウンドバックのようなボコボコにされてる飲み友との話である。

そのおじさんは昔お調子に乗ってちょっと場を盛り上げるために

人前で奥さんに失礼なことを言ったらしい。

その後、奥さんが「私にはいいけど他の人にはそんなことするなよ。」

と幾度となく躾けられた話をしてくれた。


そしておじさんは「僕は奥さんの作品ですから」と言ってハッとなった。


となると私も今まで付き合ってきた人の。。。笑







タモリさんの赤塚敏夫さんに向けた弔辞を思い出した)








友人も恋人も誰と付き合うかで人って良くも悪くもなるよね。


そういう意味では悪い人はいなかったと信じたいというか、


最早悪くても一緒に過ごしてくれた素晴らしい時間に感謝しつつ


人間である以上、より良く生きる為の糧だったと思って


昇華するしかないのではと思ったりする。


しかしながらエンパシーのカケラもない人のような姿をした


動物がいるのを私は知っている。


もう何のために言葉があって、何のために想像力があって、


何のために映画や小説のような文学があるのか。












この世界にたまに本当にうんざりする。


期待してたからとか、想像と違ってたからとかじゃない。


多分、自分に力がないからかもしれない。


もう少しましな世の中にするための力だ。


服を作るのも、楽しく生きるのも、金を稼ぐのも、


全てはマシな世の中にしたいからだと思う。








松田聖子---瑠璃色の地中





私も赤塚敏夫みたいに「それでいいのだ」と言って


全てのことを笑い飛ばしたい。








憧れて

いつも通勤している道の途中の高架下に ホームレスのおじさんが一人住んでいる。 彼は寝転がりながら気持ちよさそうに読書をしていたり、 外なのに箒で身の回りを掃除していたりと割と綺麗な感じだった。 とあるカラッとした真夏の朝にアトリエに向かっている時のことだ。 そのおじさんがめちゃく...