2020年11月29日日曜日

7年前、イタリアのヴェネツィアで潮風香るレストランの

ロブスターのパスタ(一人前)を頼んだら80ユーロとられて、

あぁこれがヴェネツィアかと感じながらとぼとぼと街を徘徊していた。

お祭りがやっているかのように人の賑わっている方向に行くと

ビエンナーレ(国際芸術展示会)の入り口に辿り着いた。

当時ビエンナーレって何ですか?みたいな感じの私は

とりあえず時間だけはたっぷりあったのでチケットを購入し入場した。





広大な会場に各国の代表の作品が展示されていて

美術が分からなくても興味が湧くような設定や展示方法で

1日じゃ足りず2日行って舐め回すように見ていた。

個人的にはポーランドブースが印象的だった。

室内に巨大なスピーカーを設置して

鉄の鐘を鳴らすという作品。

Konrad Smolenskiっていうアーティストで音と身体のプロジェクトは

日本でまだやったことなさそうなんで誰か呼んでくれないかしら。

鐘が動く空気の振動の音量を受けて頭蓋骨に響き、終始放心状態に。







当時の私はたくさんの作品があり過ぎて情報処理能力が足りず

もう自分が興味をもったアーティストの空間だけ時間を掛けてました。

その中で時間がなくなって、早歩きで巡回している時に

何だこれ、、超かっこいい、、どういうこと、、

っていう作品があった。

写真だけ撮って記憶の片隅に眠らせること7年。





金沢の21世紀美術館の企画展のサイトを見たらなんと

そのアーティストが2人展示すると!

オランダ出身のマーク・マンダースと、

もう一人はベルギー出身のミヒャエル・ボレマンス

どちらも今までのリサーチやポートフォリオで自然に触れてて

もう一人で勝手にテンションあがる。

「ダブル・サイレンス」というテーマのもと展示されていた作品は

二人の相性と空間の相性の相乗効果で

イタリアで観たときよりも更に強く、ネットで調べたより更に迫力があり

久しぶりめちゃくちゃいい展示だなと感動した。

2月末までなのでタイミングをみて是非。




※写真NGだったので画像は拝借。





そのあとぷらっと金沢の街を歩き

夜は全国からジャズ好きが集まるという「穆然」というミュージックバーへ。

始めはスピーカーから遠いテーブル席に案内されて

大人しくお酒を飲んでて、カウンターで人がいなくなった後に

オーナーに「あの席に座って良いですか?(音が一番良い席)」

と聞いたらいいと言ってくれたので喜んで座る。

因みに熊の置物がある席が良い席と教わってきた。

あれ、思ったより普通かも。。と内心思ったいたら

「今はCDの曲かけてるんだけど、次レコードにするから

ちょっと待ってね。あとあなたどこから来たの?」

と聞かれたので、教えてもらった人のことを伝えると

その人が穆然のスピーカーで試したいと言って持ってきた

art pepperのレコードの曲をを流してくれた。

次の瞬間、瞳孔がマックス開いて全身鳥肌が立った。

JBLの巨大なスピーカーから身体を刺さるような音に包まれ

もう笑いが止まらなかった。

友達をほったらかして真剣に聴いていたら

次はシンガーソングバージョンも聴かせてくれた。

そしてリクエストを聞かれたのでKieth Jarrettをリクエストしたら

熊の置物に因んで「サンベア・コンサート」のアルバムを出してくれた。




もうそこからはほとんど記憶がない。

飲み過ぎたからじゃなくて、音が良過ぎた、本当それだけで

涙が全然止まらなくて、ただただ泣いてしまった。

1曲が45分くらいの長いピアノソロは

滝行をし続けたように放心状態になり、一瞬だけ煩悩の世界に行ってしまった。

隣を見ると友達が座って同じように号泣してて思わず

泣くの早いわよ〜と泣きながらつっこむ。

オーナーの奥さんはずっとカウンターでずっとうんうんと頷きながら

見守ってくれて、気付いたら閉店を1時間半もオーバしていた。

帰りに人生は修羅の道だから一歩間違えて道を踏み外すと

大変な事になる、知感を持って生きよと誰かが言っていたのを思い出す。






他にも金沢の良い所たくさん教えてもらって、

民度が高い土地だなと感じた。

人生で一番音楽と向き合ってる。

誰かとめてちょうだい。

(次はファッションの話したい)



WEB SHOP






https://kotona.official.ec/



2020年11月20日金曜日

証明


忘れそうなので心のメモを。





大学時代、友人で唯一のギャルがいた。

同じ歳で、サークルが一緒で、煙草を吸っていた。

本当それだけの共通点で仲良くなった。

服装めちゃギャルだし(当時の私はグランジモード系)、聴く音楽の話合わないし、

よくしゃべるし、楽器できないし、名前難しいしみたいな。

関わらない方法なんてたくさんあった気がするけど

何か言葉にできない居心地の良さがあって、

結局そのギャルも含め4人、大学卒業をしても定期的に飲む仲になった。

バンドも組んだし、皆で旅行したし、突然家に泊まりにきてた。

同じくらい演奏下手でいつもお互いニヤニヤしながら演奏してた。

学生時代の友人と大人になってからの友人てちょっと違う気がする。

社会にでると環境が変わってしまうからか、

大人になると合わない人とは無理しないからかもしれない。

今はギャルと自然に友人になれるかと聞かれると自信がない。笑

そんなこんなで卒業してからも年に一、二回集まって飲んでいた。

ギャルの結婚式にも行った。

披露宴の最中にコビーバンドした曲が流れた時は、何か胸が熱くなって

友人同士で笑いと涙が溢れた。

ギャルということもあってスタイルが良くて、とても綺麗な花嫁姿だった。

結婚式が終わり半年くらいたって、皆で会おうってなった。

けど体調が悪くて会えないと言われ、少し日をおいて誘うと、

入院することになり、見舞いに行くよ言ったら、大丈夫だよとなり、

そのまま会う事なく原因不明で急に亡くなってしまった。






友人たちと毎年お墓参りをしている。

お参りする日はいつも、澄み切った雲一つない秋晴れで

今年も気持ちのよい日だった。

道中は一緒に弾いた音楽とか聴く。

お墓を掃除して、お花を供えて、マルボーロのメンソールの煙草を供えたけど

両親が見たら悲しむのを想像して回収し、皆で合掌をした。

いつもより長かった気がした。

報告や聞いて欲しいことが増えたのかもしれない。

友人は辛い時があったらギャルを思い出すと言っていた。

一方私は、5年たったけど正直言うと会えないのが続いているだけの感覚で

なんだか付き合い悪いやつになったなと思ってしまう。(ごめん)

一本だけお墓の喫煙所でメンソール吸ったけど不味かった。

こんな不味い味を吸っていたのかと笑ってしまう。






亡くなった日にいつものミュージックバーに行った。

しばらくしたらキースジャレットの "I love you porgy”が流れてきた。

静かな一人の時間にいきなりギャルの思い出が溢れてきて頭が真っ白になり、

涙が一粒でもこぼれたらそのままぐちゃぐちゃになりそうだった。

後ろから優しく抱きしめられてるような曲は

会えないことの事実の証明みたいだった。








この動画観たら感情がピアノに乗り過ぎてやばいね。

11月の高い空を見上げる度にギャルのことを思い出す。

また一緒に中庭でしょうもない話をしながら煙草吸いたいと

できないことを思ってしまう。







2020年11月12日木曜日

ストロングスタイル

アトリエを引越した。

厳密にいうと強制退去に近いですが。

そんなんで、いつも行っているアトリエ周辺の大好きなお店巡りをして

最後に以前紹介したことがあるジェイクックにもお邪魔した。

大好きなあっちゃんのカフェは好きな友人達と何度コーヒーを飲んだことか。

最後は今までに食わず嫌いだったうなぎ山椒ピラフを悶絶しながら食べ、

コーヒーを壁に向かって飲んでいて気づいた事を徒然と。







マイルスデイビス、ゴッホ、セザンヌのポスターが貼っている。

(今まで世界地図と海老を並べたポスターだけしか目に入らなかった)



机が全部曲がっている。

(歴史を感じる弛み具合)



犬のケーキを頼むと選ばせてくれる。

(そんな可愛いことができないので一回も頼んだ事がない)



テラス席にいると時間を忘れる。

(ここは精神と時の部屋のようで考え事はここでする)



トイレの張り紙たちが語りかけてくる。

(行った展示とか映画の情報が貼られてて、とにかく歴史がすごい。

私的にスティーグリッツのポスターが考え深くて毎回トイレで泣きそうになる)




コーヒーが美味しい。

(しかも350円。時代が変わってもコーヒーの値段を変えないストロングスタイル)




奥の部屋はシリアスな話向き。

(大体悪い話をする時は暗い部屋を使い気分を演出する)




あっちゃんに怒られたい。

(神宮前の母だと思っている。もう怒られに行ってます)




といった素敵なカフェにお世話になる。

あんないけてる空間を今の時代に維持できるなんて、

相当のアティチュードがないとできない技かと。

好きな人と別れるより好きな場所と離れる方が辛いって伝えたら

「それはまだ本当に好きな人とであってないのね。」と言われた。

最後まで説教してくれて有難うあっちゃん。




そして鬼のような引越作業を終えた。

辛過ぎて割愛するけど、引越って本当嫌い。

アトリエの床を自分たちでモルタル施行したの覚えてます?

ずっといる空間に妥協できないからノリで施行した可愛い床とのお別れは

びっくりするほど何も感じないままさよならした。

新しいアトリエの床のカーペットもすごく嫌だったのでモルタル施行した。

もちろん次はプロにお願いしたらめちゃくちゃ綺麗でしかも1日で終ってた。

プロはすごいよ。





ということで新しいアトリエは快適マックス。

近くに成城石井があるんだけど、もうコンビニ感覚の乱用っぷりで、

石井で満たされる自分がいつまでもつか心配。

この街にジェイクックのようなストロングスタイルのカフェを

探しているけど中々ないよね。

お店にもお客を選ぶ権利があるのよと

あっちゃんが言ってたのが印象的だった。




最近一番嬉しかったのは、シェアしてる人が

キース・ジャレットのケルンコンサートバージョンを知っていたことっす。







綺麗過ぎてお酒があったら泣いちゃいそう。

これを聴きながら仕事してるふりしてる。

朝、爆音で聴くのもお勧めっす。

アトリエの近くまで来たら遊びに来てね。

成城石井で盛大にもてなします。




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Feeling good

ラフォーレ前の交差点で帽子から靴まで 全身ピンクの装いをした 金髪のギャルおばさんが ラジオ型のスピーカーを右肩に背負いながら 優里のドライフラワーの曲に合わせて全力で歌い 練り歩いてた横を通った時に、 あぁ東京に出てきて良かったなと 心が軽くなる のは私だけでしょうか。 東京の...