2018年5月30日水曜日

行動入門学

イスタンブール行きへの飛行機で
隣の席の80歳くらいの小柄で綺麗なお婆様が
12時間のフライト中に
ビール1杯、ワイン3杯、ウイスキー1杯(カップ大きめストレート)を
あれよあれよと飲みまくっているのを
片目でただただ見てたの。
そんな飲みまくって、ぽっくり逝ったら
それはそれで人生の終り方もありだなと
無駄な想像を。
勝手に人生の先輩の一人にしちゃお。


今更なんだけど、観たい観たいと思って
観れてなかったギレルモ・デルトロの最新作
『シェイプ・オブ・ウォーター』を観た。




簡単にいうと掃除のおばさんと半魚人の恋愛物語。
ギレルモ流の美女と野獣で、ホントはこうよ!みたいな。

全てのシーンが美しく、絵のようで、ファンタジーで、
あっという間に観れる映画。


画面のほどんどが「青緑」に支配されてて、
補色の赤が後半から所々に散りばめられ
赤の効果が半端ないっす。
恋が進展するにつれて赤が増えていくっていうね
何とも人間の心情を掴んでる演出。
恋すると赤が必要なんだね。
赤の服用意しとこ



主人公はしゃべれないんだけど、半魚人に恋して、
友人のゲイのおじさんに打ち明けると止められちゃって、


「私もしゃべれない、彼もしゃべれない、
私は化け物?私達は同じなの」


ってセリフでもう涙が止まんなくて
隣のお婆様も引いてたよ。
その他にも見所いっぱいなんだけど
もう観てしか言えないわ。



さてさて毎回逃避癖が発病し今回はある島に。
地中海の海風が一人沁みるわ。
夕食の帰り道、海岸線のエモいスポットで
アンルイスのグッバイマイラブとか聴いちゃった日には
もう完全に地球上で一人を感じるのよ。


一人と言えばいつも下調べしてないから
基本迷ったり、どこにいるんだ状態になんだけど
今回は無人島のビーチスポットに流れ着いた時には
久しぶり泣きそうだったわ。
泳ぐつもりで来てなかったし。
建物ないし、木もなくて、影がないので
暑過ぎてもう海に入るしかなかった。
後先考えずに下着で泳ぐって最高ね。





時間つぶしに持ってきた三島由紀夫先生の
行動入門学がとっても面白過ぎて
最早無人島は三島由紀夫の思い出しかない。
「精神は行動を促す原因かもしれないが、
行動には精神は関係ない」
って先生が仰ってた。


道理で迷子になるのか
と感じる旅でした。






2018年5月5日土曜日

情熱のカケラ

とある蔦屋での出来事。
2人用の向かい合いのテーブルの一脚に座りながら
雑誌を乱読してたら、目の前に腰を曲がらせたお老婆様が
「ここ空いてる?」
って聞いてきたので、
どうぞ〜って言うと、なんだかごそごそと動き回りながら
やっと席に着いた。夜10時くらい。
年齢的には80歳くらいで、
最近の高齢者は夜も長いのかと感心する。




最初は沈黙の時間が過ぎ、
もう帰ろうかなと思った頃、
そのお老婆様のスリッパが
あまりにも良い感じのボロボロ具合で
突っ込まずにはいられなかったので

「イケてるスリッパですね」と話してみると
「いい靴を履いてもこの年だと疲れちゃうのよ。
色々履いて、このスリッパがいいなってなって。
あとこんなにボロボロだと靴屋行って新しい靴買ったとき、
いつでも捨てれるじゃないの。」
なにこれ、新しいなこの考え方。
最早使い捨ての靴の時代が来てるのかと考えさせられたわ。



「昔はヒール履いてたし、
銀座が遊び場でおしゃれもしてたのよ。」
「そうだったんですね〜。
ハイカラさんだったんですね」
「そうハイカラよ!
それにしても今の子はヒール履かなくなったわね。
スニーカーでもおしゃれなものが増えたからかしら。」
待て待て。
お老婆様。80歳くらいなのに
そんなファッション敏感なの?!
めちゃ世の中見てるじゃない!
その後ファッションの話をし、
(主にレイヤーの話w)
お老婆様の好きなことについて話した。
演劇や旅行、ジャズ鑑賞が好きで勢力的に動いてらしい。


でも最近は歳を重ねるにつれて
興味の度合いが減ってるらしい。
足も悪くなって、気持ちも追いつかないようだ。
1時間くらい話をしていると、
そのお老婆様はどうやら色々経験をして
もう十分に分かったような話し方をしていた。
だいたい知ってるからもういいの。と。
色々やるのって疲れちゃうじゃない。
もう今はできるだけエネルギーを使わない生き方がいいのと。



話を聞きながら、歳をとるとそうなるのかと
改めて考えさせられた。
若いときの探究心はどこに行ったのか。
好きなことは歳をとると少なくなるのか。
面倒くさいって何なんだ。
エネルギーってなくなっちゃうの?
今、小泉今日子の素敵な生き方読んでるのに
何も影響されないの?w



そんな疑問が頭の中に少しずつ溜まってくる。
何かを知ったり好きになっていくことが"興味"で
のめり込んで追いかけることは"情熱"で
自分にとって知らないこと、分からないことが
海のように広がっていって、
船で航海するような感覚が広がることが
人生の楽しみなのではないかと思いたいけど、
そうではないようだ。


歳を取ると嫌でも自然と知識が身に付き
子供のような真っ白な頭の中のノートではなくなり
今まで生きたデータベースの何かに置き換え
あたかも全部分かったような気になるのか。
そんなんだったら、頭の容量が2メガくらいで
毎回何かに感動したいっす。



別れ際に名前を紹介し合う。
お老婆ちゃんの名前はヤスエちゃんといい、
「あなたの事、私好きよ。」
強い握手をする目はぎらついていた。
今度ジャズバーに行く約束して別れる。
帰り道のジャスミンの花の香りが沁みた。






Feeling good

ラフォーレ前の交差点で帽子から靴まで 全身ピンクの装いをした 金髪のギャルおばさんが ラジオ型のスピーカーを右肩に背負いながら 優里のドライフラワーの曲に合わせて全力で歌い 練り歩いてた横を通った時に、 あぁ東京に出てきて良かったなと 心が軽くなる のは私だけでしょうか。 東京の...