2025年5月31日土曜日

人は見えるものを欲しがる



ちょっと前に人を信じることがバカらしくなった出来事があった。

よく行くバーのオーナーにその話を吐露したら、

野島伸司の「世紀末の詩」という本をお勧めされたので読んでみた。

生きることに絶望した二人の男の話なんだけど、

一話一話扱っているテーマが普遍的な内容で噛み締めるように読んだ。













その中の一話で、男に騙され続けてきた女性と

過去に色んな前科があり、逃走中に交通事故に遭い

足が不自由になった絵描きの男性との恋の話があった。

ある日女性が母の形見のサファイアの指輪をその男性に見せたことがあり、

暫くするとその指輪が部屋からなくっなっていた。

男性はその指輪が偽物だということが分かり、

本物のサファイアの指輪とすり替えるために黙ってやろうとしたのだが、

女性は男性が盗んだと疑ってしまった。

大切な指輪を盗まれた悲しみと、

この男だけは信じてたのにという腹いせで車椅子の男性を

線路に置き去りにして行ってしまった。

そして置き去りにされた男性が最後、

女性に向かって微笑んだという一文があったのだ。










恋人を信じられるかという話なんだけど、

信じることと疑わないここととはどういうことかを考えさせる

すこぶる後ろ髪が引かれる一話だった。

相手が自分を愛してくるれから、相手が何かをしてくれるから

人を愛するのだろうか。

相手の本当の姿が自分の見ていたのと違ってもそれを受け入れることが

できるかできないかは最早自分の信じる力なのだろうか。

愛とは一方的だな感じる反面、最後に全てを分かって

女性に微笑む男性の許す愛が全て過ぎて涙が止まらなかった。







というのを友人に話したら、

人が裏切るなんて当たり前じゃ〜ん☆

裏切るとか裏切らないとかじゃないくて

一緒にいる自分との時間をマックス最高にすることしか

できないのだから、マックス目指しましょ☆

みたいな回答をもらったので本当この友人最高〜!ってなりました。









人は会ってる時間、会ってない時間も

全てをすの人を知ることなんて不可能だ。

例えば教養があり、しかも美しい人を探すというなら

美しい風景を眺めるように、ある場所のある角度からの

展望のみが美しいのだから、人も同じように全体を見なければいい。

みたいな話になるのだから人には理想がない方がいいのかもしれない。

それは否定的な意味ではなく、人を間違いなく理解することなど

私たちは所詮できないからということを

知っておくことが大切なのかもしれない。







別件なんだけど、今流行りの詐欺の電話がかかってきました。

もちろん気付かず警察のフリした知らない人と1時間半も電話し、

自分の今までの恋愛の話をしてしまったことが辛過ぎる今日この頃。

皆様騙すより騙されて笑いに変えれるくらい強めのメンタルを

持つことをお勧めしたいです。










「the end of the world --- carpenters」







2025年4月29日火曜日

Special in you




 人は自由なのにも関わらず自由を求めてしまう。

なぜ自由ではないと思ってしまうのか。


凝り固まった日常や生きるための仕事などのルーティンに追われ、


生きる意味や希望が薄れて自我がなくなってしまうからでしょうか。


そもそも自由の定義がわかってないからでしょうか。







(友人と松屋で飲んでみた写真)








私は素直に生きる人が好きだ。


最近出会った素直な人は、たまにアメリカから来日するアーティストの夫婦。


食事していて、デザートのプリンのカラメルソースがビターで美味しく、


二人とも私を見ながらニヤニヤと皿を舐め回していた時に


この夫婦素直過ぎる、、!となった瞬間があった。


舐め回すくらい美味しいのは共感するけど


服が汚れたら嫌だな〜とかお腹いっぱいで正直そこまでできず、


家路で舐めとけば良かったなと無駄に後悔した。







素直に生きるにはその人自身の誠実さ物語っている。


あざとさがないというか、本当に自分が興味があるから嘘がないというか


行動、表現が真っ直ぐなのだ。


音楽風に言うとロックだね〜って言うのかもしれないけど


ロックだねって今の時代死語なんですかね笑







ロックって生き様や振る舞いを表現する一方、


その時代の社会で抑圧されてる人たちの「願い」や「祈り」を代弁し、


自分を通して信念を突き通すことだと思っている。


理由なき反抗のようなイメージとは寧ろ逆だ。


私的にロックとモードは一緒だと思っている。


モードにも色んな意味があるけど、コムデギャルゾンの川久保さんも言っていた


「モードとは拒絶すること」とリンクする。


この拒絶とは単純に否定という訳ではなく、既存の価値や美意識、常識に


囚われず自分の美意識やコンセプトを貫くことがモードということだと思っている。


ロックもモードも己の芯が通ってこそ成り立つ訳で、


どっちも尊いし、どっちも今の時代から淘汰されてるから


ロックでモードな人が私は大好き。それに素直さも加わったら最高っす。






最近、豚軟骨の煮込みを作って人に食べてもらったら、


その人も漏れなく皿を舐め回して、綺麗に食べてくれていた。


私の周りだけ皿を舐めるのが流行ってるのでしょうか。


素直に生きる尊さを感じる春。


素直とバカは紙一重らしいっす。







夏木マリ 「二の腕」










2025年3月29日土曜日

風を浴びた

デザイナーの友人の勧めでベトナムに来た。

友人曰く、ベトナムには全て揃ってて世界で旅をした者のゴールとのこと。

もちろん揃ってる訳はなく、ゴールでもないのだが、

確かに人によっては揃っているようにもゴールにも思える国だと感じる。

物価も安く、食も美味しく、スパも安く、カフェもいっぱいあって、

何もしないで過ごすには欧米と比べてすごく過ごしやすい。

比較するのも野暮だけど、中心街は雑多で生活が隣接し、人が多く、

旅特有のどこにいるんだ私状態になる。

旅先で好きなカフェを見つけて通って日常化する感覚がすごき好きで

今日で三日間連続で同じカフェで読書している。







屋台でバナナクレープ作ってくれた人






友人と「TAR/ター」と言うケイト・ブランシェットの映画の話になった。

ざっくりとしたあらすじは、世界最高峰のオーケストラの一つである

ドイツのベルリン・フィルで、女性として初めて首席指揮者に任命され、

天才的な能力とそれを上回る努力、類稀なるプロデュース力で、

自身を輝けるブランドとして作り上げることに成功する一方、

新しい曲の制作のプレッシャーやある疑惑で追い込まれていく。

崇高なる芸術と人間の欲望が交錯する様子を描いた重厚な人間ドラマっす。











その主人公の最後が東南アジアに流れ着いたのは何故かと言う考察で、

音楽家として綺麗で完璧なものしか受け入れてこなかった人間が

バイクや生活騒音がすごい鬱蒼としたアジア圏に身を置いて

音楽の先生として過ごすことがどう言うことなのか。

このシーンで演奏されたモンハンの音楽だ。

評論家や権威のある人から見たらそれは落ちぶれているようにも

悲劇的にも感じるし、低級なものに感じるだろう。

知的な文化から離れて、ただ活躍の場所を変えたに見える人もいるだろう。

単純にクラッシックより、ゲームの音楽やアジア圏に対して偏見がなければ

主人公の「自分が感じた音楽の素晴らしさを伝えるという初心」の

表れが感じるとても希望に満ち溢れたエンディングだ。

観る人の角度、視点、解釈が炙り出される何とも素晴らしい映画っす








自由な解釈の可能性で面白くとも退屈とも感じるのは

映画だけじゃなく、何事も共通している。

それは多分その人が通ってきた「主観」に左右される。

丁度旅に持参した本で、主観とは?について語られていた。

主観とは自我の本質とのことで、

自我の本質とは、肉体でもなく、経験でもなく、

他者との区別で「温もり」つまり「温感」だと。

自分が意識できるものを熱だとすると、その熱の純度を高めることが

人生をより豊かにするんだろうなって思うっす。











ベトナムにはUberみたいなアプリでバイクバージョンのタクシーがあって

毎日知らないおじさんのバイクの後ろに乗って、ベトナムの街の風を浴びている。

移動が目的じゃなくて、最早風を感じたくて移動している。

風の良さってこんなだったかなと思うほどだ。

市街地では排気ガスまみれになり、田舎ではガタガタの道の振動を感じる。

それでも風だけはいつも心地よく包んでくれて

乗っている時間は全てを忘れさせてくれる。

(ベトナムに着いた瞬間もちろん全て忘れて楽しんでます)

(仕事もしてます小声)

東京でもこんなに風を感じることができるだろうか。

自転車生活をやめてバイクを買って風を求める人になろうかなと

真剣に考えるベトナムでした。




















人は見えるものを欲しがる

ちょっと前に人を信じることがバカらしくなった出来事があった。 よく行くバーのオーナーにその話を吐露したら、 野島伸司の「世紀末の詩」という本をお勧めされたので読んでみた。 生きることに絶望した二人の男の話なんだけど、 一話一話扱っているテーマが普遍的な内容で噛み締めるように読んだ...